お米プロジェクト 最終回
2月4日
6月から年長のこどもたちが取り組んで来ましたお米作り。
長い長い道のりを経て、ようやく待ちに待ったこの日を迎えました。
1.5リットルのペットボトルの3分の1くらいのお米になりました。およそ3合です。
「今日はいよいよみんなで作ったお米を炊飯器で炊くよ!」
「園長先生に一番始めに味見をしていただきましょうね。」とあきこ先生が話すとこどもたちは「いいよー!」と笑顔いっぱいでで答えていました。
「お米を洗うことを“お米をかす”っていうんだよ。どうやってお米をかすか知っているおともだち?」とあきこ先生がこどもたちに尋ねると、りこちゃんがみんなに丁寧に教えてくれました。
「お米にお水を入れて、最初のお水はすぐに捨てて、ねこの手にしてグルグルするんだよ。研いだお水はお水は捨てて3回するよ。」
すごいですね。大人顔負けの説明でした。お家でお母さんのお手伝いをしているんだね。りこちゃんの説明でお母さんが丁寧に大切に育てていらっしゃることが伝わってきました。
りこちゃんが教えてくれたように、あやか先生がお米をかしました。
とぎ汁は・・・「真っ白!透明の水がこんなにも白くなるんだね。」
「カルピスみたい!」「お米はうす茶色なのにこんなに白くなるのが不思議だね。」
「お米のとぎ汁はお肌がつるつるになるんだよ!」とりえ先生がとぎ汁をすくっていました。
とぎ汁は大根やたけのこを下茹でする時に使うとあく抜きになったり、食器洗いや掃除にも再利用できるんだよ。
何度かとぐうちにお水の濁りも少なくなってきましたよ。「うわぁ、始めよりきれいなお水になってきたね!」
お米の表面から人差し指を立てて、第一関節のところまでお水を入れたら準備完了。
どれぐらいの大きさのおにぎりができるかな?予想してみたよ。
どんなおにぎりができるか楽しみだね。
ご飯が炊きあがるまでの間、園長先生に『暮らしと税金Part2』のお話をしてもらったよ。
「前回なんのぜいきん」のお話を聞きましたか?の問いかけに「しょうひぜい」と覚えてくれていた子もいました。
前回の消費税に続いて今回は所得税。働くお父さんやお母さん、先生たちはお給料から税金が引かれています。
その税金は何に使われるの?
病気や怪我した人の医療費やお年寄りが安心して暮らせるように使われています。
みんなも大きくなったら働いて税金を払ってこの日本をよりよくしようね!
一生懸命にお話を聞くみなさんのことをとても頼もしいと思いました。これから少しずつ社会の仕組みを学んでいって自分の頭でその時に出会うことを考えられるような人に成長して欲しいと思いました。
お話をしっかり聴いてくれて「ありがとう」
場面は変わって・・・・湯気が上がってきましたよ。お部屋から覗いては、あと何分だよと教えてくれる子もいました。
「いいにおい!」「早くたべたいよ!」いいにおいを嗅いだら急にお腹がすいてきたね。待ち遠しいね。
みんながドキドキして見守る中、まき子先生がエイッと炊飯器の蓋を開けました。
みんなの表情がとても柔らかくて優しくて、まるで尊い命が誕生した時のお父さんお母さんのお顔に見えました。本当にこの時が待ち遠しかったね。
幼稚園のおともだち全員分のご飯は残念ながらできませんでしたが、みんなが携わった米作りなので、炊きあがったご飯を年中組さん、年少組さん、ちゅうりっぷ組さんと順番に見てもらったよ。
年中組さんは、「黄色いご飯だね。どうして?」と先生に聞いていました。「みんなが普段食べているお米は、機械できれいに精米されていて白くなっているんだよ。年長さんのお米は棒を使ってトントンお米をついたから、玄米に近いんだね。」
またあるおともだちは、「年長組さんになったら私たちもお米を作れる?」と期待に胸を膨らませていたそうです。
「こんな小さいラップでおにぎりできるかな?」とぽつりとつぶやいていた子もいました。大きなおにぎり作るんだもんね。
土にペットボトルで何度も水を運んで入れ 手でぐちゃぐちゃ耕したこと、一本の苗をそうっと植えたこと、米作りの一つ一つの過程を振り返りながら、心を込めておにぎりを作っていました。
水やりをしたね、少しずつ大きくなっていくのがとっても楽しみだったね。稲穂が下を向くのを待って稲刈りしたね。ここからも長かったね。しばらくの間乾かしたら、おひさまのいい匂いがしたね。牛乳パックを使っての脱穀、もみすり、もみ飛ばし、精米トントントン・・・。
たくさんの思い出が駆け巡り、やっと出会えたおにぎりがとっても愛おしく感じられます。
心を込めて「いただきます」の挨拶の後、大事な大事な宝物を少しずつじっくり味わっていただきました。「おいしいね!」
「いつものご飯より甘いよ!」
「つぶつぶしているよ!」触感も確かめながら味わっていたね。
「もちもちしているよ!」「とってもおいしい!やっと食べることができたよ。」
普段何気なく食べているお米がどんなに尊いものか、お米作りを経験をしたこどもたちも私たち大人も改めて実感しました。
お米をいただくまでの長い月日、行程、農家の方々のたくさんの苦労や工夫を感じずにはいられません。
この日、給食のご飯を残す子は一人もいなかったそうです。
お米作りの経験がこどもたちを一回りも二回りも大きく成長させてくれたのですね。
一つ一つの行程にどきどきわくわくしたり、命を育て収穫する喜びや命をいただくことの尊さを感じたりと先生や仲間と思いっきり共感できたお米プロジェクトでした。